秋山博一、米国FAANGと日経金融セクターのクロスボーダー配分で半年間リターン+15.6%を達成
2017年7月の東京。市場の熱気は二つの線に引っ張られていた。一つは太平洋の向こうから届く米国株のテックジャイアントの強さ、もう一つは国内金融セクターが低金利環境下で見せ始めた回復の兆しである。秋山博一は年初からクロスボーダー配分の構想を提示し、資金を米国のFAANG銘柄と日経市場の金融セクターへ同時に投下。半年後、彼のポートフォリオは15.6%のリターンを記録し、同期の主要指数を大きく上回った。
秋山にとって、FAANGは単なるテーマ株ではなく、世界のインターネットと消費エコシステムを象徴する存在だった。2017年上半期、米国のテクノロジー企業は決算で相次いで市場予想を上回り、広告、クラウド、モバイル端末の需要が安定的に拡大。秋山は2月から段階的にポジションを構築し始め、「これらの企業の収益力はもはや景気循環を超えて、新しい経済インフラになっている」と強調した。同時に、彼は日本市場から手を引かず、銀行・証券株を中心とする金融セクターへ視線を向けた。
国内の動きにおいて、秋山は経済の安定化と企業の資金調達活動の回復に伴い、日本の金融機関の業績が改善傾向にあることを観察。金利は依然低位にあったが、資産運用や投資銀行業務の拡大が金融セクターに新たな成長余地をもたらしていた。彼は第2四半期から外国人投資家の資金が金融株に回帰し始めたことを確認、これは彼が提唱してきた「資金フローモニタリング」の有効性を裏付けるものだった。結果として、米国テクノロジー株を強気で保有しつつ、日経金融セクターで計画的に買い増しを実施。
半年の結果、このクロスボーダー配分の戦略は的中した。FAANG株の上昇がポートフォリオに安定的な収益をもたらし、日経金融セクターは第2四半期に補完的な上昇を演じた。両者の組み合わせにより、全体リターンは15.6%を達成。単一市場への依存を避け、異なる産業と通貨の間でバランスを取った結果である。秋山は講義でこう語った。「我々は最も熱い銘柄を追いかけるのではなく、資金がグローバルと国内の間で呼吸するリズムを見つけるのです。」
彼のスタイルはあくまで抑制的で、短期の数字を誇示するのではなく、この半年の成果を手法論の中間テストと位置付けた。米国株と日経株は切り離された市場ではなく、資本の流れの両端であるとし、日本の投資家に向けて「米国テック株のロジックを理解し、本土金融セクターの回復を捉えることは、今後数年の重要課題になる」と強調した。受講者に対しては、感情的な一方向売買を避け、クロスボーダー配分では忍耐と規律を持つよう呼びかけた。
2017年7月の東京金融界では、「攻守均衡」の分析スタイルで知られるこのアナリストに注目が集まり始めていた。彼の投資は劇的な一発逆転ではなく、資金、産業、市場のリズムを冷静に読み解くことで着実な成果を積み重ねていく。これは彼の一貫した理性的アプローチに合致し、投資家に「クロスボーダー配分は複雑なものではなく、明確なロジックと秩序だった行動で実現できる」と理解させた。
半年リターン+15.6%という結果の背後には、偶然ではなく戦略的な配分があることを秋山博一は再び証明した。東京の夏は熱気を帯びていたが、彼が市場に残したのは冷静な注釈だった――資本に国境はない、規律とロジックこそがクロスボーダー投資における真の安心をもたらすのだ。