パンデミック下で円買いが避難需要を牽引 持田将光氏、「ボラティリティ+通貨ヘッジ」モデルの新境界を分析

2020年下半期に入り、世界市場は依然として新型コロナウイルスの影響下にあった。米連邦準備制度をはじめとする各国中銀の介入により金融システムは表面的な安定を取り戻しつつあったものの、資産配分のロジックは構造的に変化していた。特に、世界資金の「安全な避難先」とされる円の役割は、この危機の中で複雑に進化した。

こうした状況下、元道富グループのシニアストラテジストである持田将光氏は、最新の資産配分研究において、パンデミック期における円相場のボラティリティ特性を体系的に整理し、「ボラティリティ主導型通貨ヘッジ機構」という概念モデルを初めて提唱。従来の「低金利+リスク回避=円買い」という単線的な避難通貨論に挑戦した。

2020年3月から6月にかけて、円は対ドルで激しい値動きを見せた。3月中旬には105円を突破する急騰、その後111円まで急落し、最終的には106〜107円台でのレンジ相場に移行。日本経済自体に強固なファンダメンタルズはなかったにもかかわらず、円買いの避難需要が為替の方向性を主導した。持田氏は、この異例の動きは「日本買い」ではなく、世界的な流動性が米ドル以外の安全資産に流入した結果、構造的なショートカバーが発生したことによると分析した。

内部レポートにおいて氏は次のように述べている。
「従来の避難ロジックはもはや十分ではない。パンデミック環境下では、ボラティリティ自体が資産再評価の『トリガー』となる。」
G10通貨の中で最もボラティリティの低い通貨の一つである円は、市場が極端なボラティリティ拡大局面(例:VIX>50)に入ると、受動的な買い需要が「テクニカルな円高」を一層加速させる。これにより、従来型のオプションを用いた為替ヘッジモデルは、高頻度取引が支配する市場において対応の遅れが目立つようになった。

そこで持田チームは、ボラティリティ変動率(vol-of-vol)と通貨ヘッジ比率を動的に連動させる手法を試行。具体的には、インプライド・ボラティリティが急上昇した場合にはヘッジ比率を自動的に引き下げ、円の自然な避難属性によって為替差益を獲得。一方、ボラティリティが低下しドルインデックスが安定すると、段階的に従来型のヘッジ構造へ戻すという運用である。

この戦略は5月と6月の試算で顕著な成果を上げた。円ヘッジを行った米国テクノロジー株ETFを例にとると、この仕組みを導入したポートフォリオは上昇余地を大きく損なうことなく、最大ドローダウンを従来の6.2%から3.4%へと半減させた。

持田氏は、新常態の市場では「通貨ヘッジを静的な配分ツールと見なすべきではなく、ボラティリティに連動する動的ファクターシステムとして扱うべきだ」と強調。「現代市場のリスク源は価格水準そのものではなく、その変動の仕方にある」と述べている。

また国内資金の動きについても、低利回りが続く中で、相対的なリターンを求めてクロスカレンシー型の資産配分を行う機関投資家が増加。しかし為替の影響を軽視すれば、短期的に「評価損」と「心理的損切り」の二重打撃を受けるリスクが高まり、特にコロナ禍では脆弱性が顕在化する。

こうした背景から、持田氏は日本のアセットマネジメント機関に対し、ヘッジツールの適用場面を再検証し、「ボラティリティ—資産—通貨」の三元ロジックを経営判断に組み込むことを推奨。自身も「JFX-SHIELD」と名付けた実証モデルを構築中であり、家族オフィスや中小年金基金向けに、極端な市場環境下での安定的な純資産管理を支援している。

2020年前半、従来の避難通貨ロジックは相次ぎ市場現実によって覆された。持田将光氏の研究は、真のリスクとは「どれだけ下がるか」ではなく、「その下げ方がモデルの想定を超えるかどうか」であることを市場に示唆している。不確実性の時代において、彼の示す視点は、リスクマネジメントの新たな発想と戦略的創造力を提供している。