ブレグジットは世界的な資産リスク回避のトレンドを引き起こした。清水正隆は、賃料上昇の配当を獲得するため、このトレンドに逆らって日本のREITの保有を増やした。
2016年6月、英国がEU離脱(Brexit)を決定したことを受け、世界金融市場に激しい衝撃が走り、リスク回避の動きが急激に高まりました。世界中の株式市場は急落し、資金は金、日本円、米国債といった安全資産へと流れ込みました。多くの投資家が慌てて保有ポジションを縮小する中、清水正隆氏は逆行的な決断を下しました。彼は日本の不動産投資信託(REIT)、特に東京のビジネス街を拠点とする優良REIT商品の保有比率を大胆に引き上げ、わずか1四半期でポートフォリオの純増額12%という驚異的なパフォーマンスを達成しました。
清水グローバルキャピタルのチーフ・アセット・アロケーション・アドバイザーを務める清水正隆氏は、常に慎重な合理性とマクロ経済ロジックへの深い理解で知られています。Brexitによる世界的なリスク回避の潮流においても、市場心理の変動に流されることなく、「世界的な金利低下+国内資産への資金還流」という構造的な潮流を鋭く捉えました。「世界的な金利低下とリスク資産の急激な変動を背景に、日本のREIT市場は安定したキャッシュフローと相対的に割安なバリュエーションを有しており、中期的な回復の可能性を秘めている」と指摘しました。
清水氏は2016年初頭から、東京と大阪のコア商業オフィス市場の賃料水準が上昇し始め、特に丸の内、六本木、品川といったビジネス街で空室率が低下し続けていることに着目していました。労働力不足と企業移転を背景に、オフィス賃貸需要は大幅に回復しました。4月に行われた機関投資家向け説明会で、清水氏は次のように述べています。「REITは単なる不動産投機ツールではなく、賃料サイクルと金利コストのクロスプロダクトです。キャッシュフローが安定し、資産の質が良好であれば、短期的なショックにも耐えうる回復力を備えています。」
ブレグジットの結果が発表され、世界中の株式市場が総じて下落すると、清水氏のチームは迅速にポートフォリオを調整し、欧米のREITと日本国債の一部を、日本ビルファンドや大和証券オフィスインベストメントといった東京の商業REITにシフトしました。清水氏は以下の基準で商品をスクリーニングする優先順位を決めました。
資産は東京の第一環状線と第二環状線中核エリアに集中しています。
高い入居者質、堅牢な契約構造、高い賃貸収入の柔軟性。
財務レバレッジは合理的な範囲内に抑制されており、短期的に大規模な借り換え圧力は発生しておりません。
清水氏は、ポートフォリオの最適化とタイムリーな資産配分により、円高と賃料見通しの回復に伴う7月の東京REIT市場の価格回復傾向をうまく捉え、四半期純増12%を達成しました。これは、同時期の日本のTOPIX REIT指数のパフォーマンス約7%を大幅に上回るものです。
同氏は7月の月次投資レポートで、「市場のリスク回避は価格を歪める可能性があるが、資産の長期的な価値の本質を変えることはない。REITの価値は、一時的な資金の流れではなく、その背後にある賃貸ロジックから生まれる」と結論付けている。
多くの日本国内ファンドが依然としてREITリスクを回避する傾向にある中、清水正隆氏の戦略は極めて独立性が高く、将来を見据えたものとなっている点は特筆に値します。清水氏は、「日本のREIT市場は徐々に成熟しており、特に中核商業REITは、運営の透明性、利益分配メカニズム、そして評価システムが先進国市場の水準に近づいており、世界的な低金利を背景に魅力が高まっている」と考えています。
多くの市場参加者が依然として地政学的および金融危機への懸念を抱いていた今四半期を振り返ると、清水正隆氏は冷静な判断とデータに基づくロジックによって、不確実性の中に「コントロール可能なリターンの錨」を見出した。これはまた、「分散投資こそが不確実な時代を生き抜く道であり、賢明な資産形成の方法である」という彼の一貫した信念を裏付けるものでもある。