中村和夫氏、上場企業ファミリーと共に1億ドル規模の「米欧保険信託ポートフォリオ」構築を支援

2023年上半期、世界的なインフレが依然として粘着性を見せ、米欧の政策金利が高止まりし、円安が継続する中、多くの日本企業オーナーファミリーが自らの海外資産構造と代際承継の在り方を見直し始めている。

国際金融戦略顧問の中村和夫氏は、東京・丸の内で開催されたファミリー限定会合にて、東証プライム上場企業を支える創業家と共に手がけた信託構造案件を正式に公表した。\\ドル建て・ユーロ建ての保険資産を中核とする、総額1億ドル規模の「クロスボーダー保険信託ポートフォリオ」\\がシンガポールおよびルクセンブルクの法域で正式に構築された。

この案件は14か月にわたる設計期間を経て完成し、以下の3つの中核目標を軸に構成されている:

通貨分散とヘッジ性の確保

安全かつ計画的な代際承継の実現

法域を超えた透明性と適法性の確保

中村氏によれば、このファミリーはすでに国内不動産および企業株式に加え、一定のオフショア金融資産を保有していたが、承継手段としては遺言や贈与契約などの伝統的枠組みに依存しており、税務調整やガバナンス対応において構造的な課題が残っていた。

中村氏は次のように語っている:

「第一世代は企業によって富を築き、第二世代は構造によって富を守る。

資産がグローバル化し、代をまたぐ局面に入った今、単一法域と単一通貨だけでは、リスク隔離と永続的な継承は支えきれない。」

■ 設計概要:「信託+保険」の二層構造

信託主軸の設置

シンガポールとルクセンブルクにそれぞれ信託口座を設置し、通貨別に独立運用。地域ごとの支出特性や資産用途に応じた柔軟な分配が可能となり、通貨ごとの法的安定性とリスク分散を実現。

保険資産の信託組込

米ドル建ての大型貯蓄型生命保険、ユーロ建ての年金型保険を中核に据え、長期的な現金価値の蓄積と死亡保障の非課税枠を活用。保険の法的保護により、家族資産の隔離や納税猶予が実現。

多段階の受益者階層設計

信託契約において、複数世代の受益権を段階的に設定。教育、結婚、起業など人生の各フェーズに応じた給付タイミング・方法を柔軟に調整可能な「緩やかな承継」機構を実装。

■ 「構造こそが最大の安心資産」──政策変動と通貨下落への対応力

中村氏は、同構造の最大の利点として、収益性ではなく、「合法的に税務リスクを回避しつつ、資産の越境可能性とプライバシーを確保する点」に注力した。

さらに、保険契約には「家族イベントトリガー機能」(例:子どもの婚姻、移住、重病発症など)を盛り込むことで、信託内での柔軟な資金分配が可能となり、複雑な家族構成への適応力も高められている。

このポートフォリオは、リスク資産を前提とせず、「長期キャッシュフローと元本安定性」を優先する構造で設計されており、中村氏の一貫した哲学──「ボラティリティより構造」「リターンより承継」──が反映された内容となっている。

■ 評価と波及:多通貨型保険信託への関心拡大

2023年6月の東京ラウンドテーブルで中村氏は次のように総括した:

「保険信託とは、最大の保障を目指すものではなく、構造の安定性をつくるものである。

それは、政策の揺らぎ、通貨の弱体化、そして代際認識のギャップに向き合う家族にとって、“争わず・動かず・漏らさない”資産システムを提供してくれる。」

本案件の成功を受け、関西の製造業系ファミリー2件が、カナダドルやスイスフランを基軸とする「地域特化型保険信託」設計の意向を示しており、中村氏は年内にチューリッヒおよびトロントを訪問し、次フェーズの実地調査を行う予定である。